ここでは、固体中の電子の励起状態を光を手段として調べています。対象物質は主に絶縁体や半導体、またそれを母材とする蛍光体であり、これらにレーザーやランプなどの光を照射します。すると、物質との相互作用を通じてその物性が光に載って現れます。この光の情報から、特に物質内で励起状態にある電子の構造やそれに付随する結晶格子の性質、励起状態からの電子の緩和過程などを調べることが出来ます。これらの内容につきましては、研究室サイトも是非ご覧ください。
身近な発光源には、電球や蛍光灯、イルミネーションなどがあります。またスマートフォンなど情報機器の表示も発光を使っています。これらの多くは蛍光体を使っており、その発光原理には多様なものがあります。図1は残光蛍光体が赤色光を発している例です。この光は、電子を励起状態に長時間保つ巧妙な電子構造を蛍光体が持つことに由来しています。

絶縁体の中には温度変化で金属転移するものがあります。この物質群は光による可逆な転移や超電導性を示すなど、基礎物性と応用において興味深い対象です。これらの相転移における電子状態のダイナミクスの解明を目指しています。図2はチタン酸化物の絶縁体-金属転移の様子です。300Kの金属相では表面が鏡のようになるので、光スポットの散乱がほぼ見えなくなります。

高圧測定で用いる薄い金属板に微小な穴(0.3㎜径)を開ける放電加工機を、卒業研究で学生が作製した例を示します。図3がその装置の写真です。回路を入れたケースの上部に放電加工部が載っています。部品選びと回路作製、ケース加工、加工電圧の確認や針の移動制御用のプログラムの作成も学生が行いました。

- 学生へのメッセージ
- 大学を卒業した後も新しい知識や技術に対応し、それを分かりやすく表現できるようになっているには、大学で多くの知識を学んで基礎を身に着けるとともに、それらを体系化してゆくことが重要です。そのため、自身で実験や計算を行ったり報告書を作成したりする機会、また他者へ向けて発表を行う機会には、とにかく何度も試行錯誤することを推奨します。このような過程を経て、問題を解決する力を自ら伸ばそうとする、意欲ある学生を歓迎します。