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教職員一覧

石田 浩

教授

専門分野 物性理論
研究キーワード 固体表面の電子構造、第一原理計算、密度汎関数理論、スピン軌道相互作用、トポロジカル物質

空間反転対称性と時間反転対称性のある結晶のエネルギーバンドは、スピン軌道相互作用の強さにかかわらず2重縮退します。しかし、結晶表面では空間反転対称性が破れるため、スピン軌道相互作用により、表面に局在した電子のエネルギー準位がスピン分裂します。本研究室ではエムベッディッドGreen関数法による半無限結晶表面の第一原理計算により、金属結晶の表面状態のスピン分裂の機構を調べています。

Au(111)表面の表面状態のスピン分裂

単一分子デバイスの開発を目指して、金属電極間を架橋する鎖状分子や原子鎖の電気伝導率が測定されています。本研究室ではエムベッディッドGreen関数法による第一原理計算により、2金属電極間を架橋する単一原子鎖や分子の電気伝導率を計算しています。

金電極を架橋する不純物酸素原子を含む金原子鎖の電子状態

時間反転対称性を持つバンド絶縁体のZ2トポロジカル不変量が、2個の時間反転不変運動量点を結ぶバンドギャップ中の経路ε=ε0(k)に沿って計算したエムベッディングポテンシャルの固有値の振舞いから容易に決められることを示しました。この方法により、空間反転対称性のない絶縁体においても、Z2トポロジカル不変量が容易に計算できることを示しました。

バンド絶縁体のエムベッディングポテンシャル固有値スペクトル(左:自明な絶縁体、右:トポロジカル絶縁体)

2次元トポロジカル絶縁体のナノリボンを並列接合した系を考え、バルクバンドギャップ中に生じる1次元エッジ状態によるバリスティック電流を計算しました。 左右のナノリボンの間に島状の領域をもうけ、この領域にゲート電圧をかけることにより、左右のナノリボン間を流れる電流の"on"と"off"状態を制御できることを示しました。トポロジカル絶縁体を用いたトランジスターに応用できます。

2次元トポロジカル絶縁体のナノリボンを使ったトランジスター