閉じる

教職員一覧

阿部 伸行

准教授

専門分野 物質科学
研究キーワード マルチフェロイクス、電気磁気効果、磁性、光物性、単結晶育成
趣味 散歩 、下高井戸~桜上水のおいしいもの探索、(少し前の趣味)100kmまでの長距離走

最も身近な量子現象の一つとして磁性があります。冷蔵庫の扉などに今日の買い物などの伝言が書かれた紙を貼るときに使う黒い色の磁石は、フェライトと呼ばれる鉄の酸化物を主原料とした磁石です。この中で鉄イオンは化学結合に関与しない不対電子を持ち、この電子の量子力学的な性質であるスピン角運動量によって生じる磁気モーメントが磁石の起源です。磁石中に非常にたくさん存在する磁気モーメントが秩序を持ってある方向を向いていると磁石としての性質が現れ、冷蔵庫に張り付くようになります。

マグネット(フェライト磁石)

物質中に存在する電子は磁性だけではなく、物質の色、電気の流れ、熱的な性質などの起源になります。私の研究室では物質の磁性と電気的性質・光学的性質・熱的性質を組み合わせることよって、新しい物性制御方法や物理現象の開拓を目指して研究を進めています。実際の研究では複数の原料試薬を使った物質の合成、室温から液体ヘリウム温度(4.2K)程度までの磁気特性や電気特性および光学特性の測定、超伝導マグネットや電磁石を使った外部磁場印加下での物性測定を行います。

電磁石と組み合わせたヘリウム冷凍機

3年生までの授業とは異なり、4年生になって取り組む研究には明確な答えはありません。あなたが見つけたものが答えかもしれません。物質科学の研究では物理だけでなく化学や電子工学、プログラミングによる計測器制御など色々な知識を総動員します。研究室での研究に取り組むことで、世界中の誰も見たことの無い新しい物理現象を最初に見つける楽しさをぜひ体験してください。

学生へのメッセージ
物理学科では3年生までは物理学の勉強を行います。難しいと感じるかもしれませんが、初めて学ぶことは難しくて当然と思って、紙とペンを用意して教科書に書かれた式を納得するまで計算し、何回も練習問題に取り組んで乗り切ってください。検索やAIに聞いて得られた情報とは異なる、自分なりの理解と論理的な考え方が身につくはずです。4年生では人類にとって未知の領域である最先端の研究が始まりますので、楽しんで取り組んでください。