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教職員一覧

橋本 拓也

教授

専門分野 エネルギー科学
研究キーワード エネルギー材料、高温導電体、酸化物セラミックス、結晶構造解析、熱分析
趣味 学生とのディスカッション

高温で電子・ホール・イオンが導電する酸化物セラミックスは固体酸化物形燃料電池、熱電変換材料、ガスセンサー材料などに応用が期待され、エネルギー問題や環境問題解決のキーとなると言われています。我々の研究室では高温かつ様々なガス雰囲気下での各種酸化物の結晶構造・電気伝導特性・相転移挙動・ガス吸収放出特性を調査、より優れた材料を創生する指針の明確化や実際に応用可能かどうかの検討を実施しています。

実際に燃料電池やガスセンサーが動作する温度・ガス雰囲気下で結晶構造がどのように変化するのかを知るためには、市販のX線回折装置に加えて試料加熱機構やガス導入機構が必要です。本研究室では試料の温度ばかりでなく測定にあたって導入するガスも制御したX線回折装置(図1)を用いて、実際に電池やセンサーが動く環境下での結晶構造解析を可能にしています。また熱天秤や走査型熱量計によりガスとの相互作用や相転移温度・相転移でのエネルギー変化の測定も実施しています。

図1 本研究室のX線回折装置。左の試料室で室温での測定、右の試料室で様々な温度での測定が可能になっています。

また酸化物セラミックスの性質は化合物そのものが持つ性質の他にどのような粒子でできているのか?割れなどは発生していないか?などという微細組織にも大きく影響されます。本研究室では図2に示す元素分析装置付き二次電子顕微鏡で微細組織やミクロな元素分布が測定できます。内図はクラックの観測に成功した例を示します。このクラックが機械的強度の低下の原因となっていること、およびクラックの少ない試料を合成する方法を突きとめました。

図2 元素分析装置付き二次電子顕微鏡。内図はクラックの観測に成功した例を示します。
学生へのメッセージ
材料研究には実際に試料を合成し性質を解析するために手を動かすこと、合成・解析のために結晶学・熱力学・量子力学などの知識を使うことの両輪が必要です。手を動かしながら頭を使ってみると、講義で教わったことが実は非常に役に立つことが実感できます。また講義を受講する際に、教わっていることが自分の実験・研究にどう使えるのか分かってくると講義も実験も非常に面白くなります。皆さんにはこのような学問・研究が面白いと感じるようになっていただきたいと思っています。