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教職員一覧

高橋 博樹

教授

専門分野 超伝導実験
研究キーワード 超伝導体開発、超伝導・磁性の圧力効果、圧力誘起金属-絶縁体転移、ダイヤモンドアンビルセル圧力発生装置、キュービックアンビル圧力発生装置
趣味 テニス

超伝導は、電気抵抗がゼロとなる現象で、マイナス200℃以下の極低温の下で発見されました。現在、医療用MRIやリニアモーターカーなどで応用されています。1980年代には超伝導になる温度(Tc)がマイナス100℃付近の銅酸化物物質が開発され、高温超伝導体と呼ばれています。その後、鉄系超伝導体や水素化合物超伝導体など高い温度のTcを持った物質が開発されていますが、まだ開発途上であり、その高温超伝導の仕組みを解明し、より高い温度で観測される新超伝導物質の発見をめざしています。

図1 発見された超伝導体の転移温度(Tc)の年代変遷

高圧技術を用いた超伝導研究
高圧力技術を用いた物性測定は近年大きく進展した分野の一つで、我々のグループでは図に示したキュービックアンビル装置と、ダイヤモンドアンビルセルを用いた高圧実験を行っています。それぞれ10万気圧、100万気圧という高い圧力まで発生することができます。高温高圧状態から極低温状態まで圧力を保持したまま電気抵抗測定が可能なので、圧力下で現れる超伝導や、超伝導状態の圧力効果の研究を行っています。

図2 (a) 6方向から均等に荷重を加えることができるキュービックアンビルプレス装置 (b) 100万気圧を超える圧力発生可能なダイヤモンドアンビルセル

銅酸化物超伝導体と鉄系超伝導体
超伝導現象の発見以来のブレークスル―として、銅酸化物超伝導体と鉄系超伝導体の発見がある。これらの超伝導体のTcは圧力下で大きな変化を示すことから活発に研究が行われた。私のグループが行った銅酸化物超伝導体のTcの圧力効果を図3(a)に、鉄系超伝導体の成果を図3(b)に示す。これらのTcが大きく上昇する成果は超伝導研究に大きなインパクトを与えた。特に鉄系超伝導の成果はNature誌に掲載された。

図3 (a) 銅酸化物超伝導体の圧力効果(高橋博樹、「マテリアルサイエンスにおける超高圧技術と高温超伝導研究」、冨山房インターナショナル、2006年)
図3 (b) 鉄系超伝導体の圧力効果(H. Takahashi et al., Nature 453 ,376 (2008))