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教職員一覧

十代 健

教授

専門分野 ナノ統計物理
研究キーワード ナノサイエンス、ブラウン運動、水とエタノール、動的光散乱(DLS)
趣味 ウイスキー、ワイン、愛犬の散歩

ブラウン運動とは直径1μm程度の微粒子が水の中などでランダムに動く現象です。水分子の熱運動による衝突が不均衡になる粒子サイズから観測されはじめます。アインシュタインやペランによってブラウン運動から原子や分子が存在することが証明された歴史もあります。 本研究室では、水とエタノールが、どのように混合しているかという疑問に対して、ブラウン運動を丁寧に観察することで明らかにしようと取り組んでいます。

微粒子のブラウン運動による軌跡

ブラウン運動は、小中学校の理科の実験室においてある光学顕微鏡でも観察できます。原子・分子の観測には高価で特殊な電子顕微鏡が必要ですが、分子の衝突の痕跡であるブラウン運動を簡単に測定できることは、科学を身近に感じることができ素敵なことだと思っております。 ただ、より詳しくブラウン運動を調べようと動的光散乱(DLS)法という手法も使っています。市販の装置を買うだけでなく、自作でカスタマイズ可能な装置も制作しています。

カスタマイズ動的光散乱装置

ウイスキーや焼酎などの蒸留酒は、蒸留という精製過程を経ているため、その構成成分の99%以上が水分子とエタノール分子です。つまり、ブラウン運動で研究している対象そのものと言えます。蒸留酒の味は、1%以下の混合物が主に担うのですが、水とエタノールの混ざり方も影響を与えるのではないかと考えられています。そこで、ウイスキーや焼酎の味を解明するために、ブラウン運動で分析することも始めています。

エタノール化学試薬と蒸留酒(芋焼酎『自主創造』)

ナノサイエンスとは、10億分の1メートルという原子・分子のほぼサイズである小さな物体を対象とする研究です。ゴールド(金)は金色をしていますが、ナノサイズまで小さくすると赤紫色に変わります。サイズを小さくするだけで、物性が変わることに興味をもって研究しています。 特にアセチリド化合物のナノ構造体からカーボン材料を得る研究を行っており、燃料電池の電極としての応用があります。

ゴールド円板と金ナノ粒子溶液
学生へのメッセージ
「実に面白い」あるドラマでの名言ですが、物理の本質は面白さにあります。高校で物理が嫌になった学生も、既に面白さに気付いた学生も、一緒に物理を楽しんでもらいたいと思っています。また、理科(物理)の面白さを伝えることが出来る中学・高校の教員の養成にも力を入れています。