日本大学文理学部 物理学科

CHS物理学科研究セミナー

*聴講を希望する学内の方(学生含む)は自由にご参加ください(登録不要、指定時間に指定場所に直接おいでください)

*聴講を希望する学外の方は入構手続き等ございますので事前にyamamoto.daisuke21[at]nihon-u.ac.jp(山本:[at]は@に置き換えてください)までメールでご連絡ください

2023年度

これからのセミナー

姉川 尊徳
姉川 尊徳

大阪大学大学院理学研究科
第7回CHS物理学科研究セミナー
日時:2023年6月26日(月)
     16:00~17:00
場所:日本大学文理学部 8号館 レクチャーホール
言語:日本語

タイトル:Topics about complexity in de Sitter spacetime

概要:本セミナーでは、ド・ジッター(dS)時空のHolographic ComplexityのHyperfastという性質についてのいくつかの話題をお話しします。反ド・ジッター(AdS)時空のブラックホールでは、Einstein Rosen Bridgeの性質を反映して、Complexityは線形に増加しますが、dS時空ではその時空の膨張の性質を反映し、Hyperfastという性質を示します。今回は特にJackiw-Teitelboim重力理論での2次元のdS時空に注目し、Complexityが高次元と同様のHyperfast性を持って振る舞うためにはDilatonの寄与が重要であることを指摘します。また、dS時空のShockwaveに対する応答を調べることで, ホログラフィー的に期待される場の理論への考察も行います。

参考・引用:
arXiv 2303.05025 , 2304.14620

終了したセミナー

2022年度

下川 統久朗
下川 統久朗

沖縄科学技術大学院大学(OIST)
第6回CHS物理学科研究セミナー
日時:2023年3月7日(火)
     16:00~17:00
場所:日本大学文理学部 8号館 レクチャーホール
言語:日本語

タイトル:Characterization of quantum frustrated random singlet state via entanglement witnesses

概要:通常磁性体は温度を下げるとスピンの向きを揃えたがる傾向を持つものの、強い“量子揺らぎ“や”相互作用の競合(フラストレーション)“といった要素を備えた磁性体では絶対零度においても磁気秩序を示さない量子スピン液体(QSL)状態が実現することが期待されている。QSL状態の研究は、初期の理論提案[1]から今に至るまで実に半世紀以上もの間活発に続けられてきており、その結果、現在においてはQSL的な振る舞いを示す様々な候補物質が数多く報告されている。一方で近年になって、幾つかのQSL候補物質では上記の2つの要素に加えて強い“ランダムネス“の効果が加わることによって生まれる新しいタイプの液体状態ー量子フラストレートランダムシングレット(QFRS)状態ーが実現しているのではないかという理論提案[2,3]もなされている。実際、QFRS状態は低温比熱の線形性や動的構造因子における連続体などといった、これまでQSL状態を実験的に同定するために使われてきたQSL的特徴を有することが数値的に示されている。それ故にQSL状態とQFRS状態を実験的に区別することは非常に難しい問題であった。そこで我々は量子情報分野において良く知られたentanglement witnesses (エンタングルメントの目撃者)と呼ばれる種々のエンタングルメント測度を活用することでこの問題を解決することを試みた。本講演はQSL状態とQFRS状態に関する簡単なレビューから始め、ボンドランダムネスを考慮した三角格子量子磁性体に対するentanglement witnessesなどの数値計算結果を紹介しつつ、これらの結果をベースとしたQSL状態とQFRS状態の実験的な判定法を提案する予定である。

参考・引用:
[1] P. W. Anderson, Mat. Res. Bull. 8, 153 (1973).
[2] K. Watanabe et al, J. Phys. Soc. Jpn. 83, 034714 (2014).
[3] H. Kawamura et al, J. Phys. Cond. Matt. 31, 504003 (2019).

山鹿 汐音
山鹿 汐音

中央大学大学院理工学研究科
第5回CHS物理学科研究セミナー
日時:2023年1月26日(木)
     16:00~17:00
場所:日本大学文理学部 8号館 レクチャーホール
言語:日本語

タイトル:凖粒子のペア相関による一次元量子多体系のエンタングルメント構造の記述

概要:エンタングルメントは孤立量子系の熱化やブラックホールの情報喪失問題などの様々な量子多体現象において重要な役割を果たすことが知られている. 近年, 光格子中の1次元Bose気体において, エンタングルメントの指標の一つであるレニーエントロピーの実験測定が成功し, これを用いたエンタングルメント構造の研究が盛んになされている.
本講演では, 光格子中の1次元Bose気体を中心とした1次元量子多体系におけるエンタングルメント構造の解析結果を紹介する. 具体的には, 基底状態と非平衡状態に関するレニーエントロピーの解析的な表式を導出し, 準粒子ペアに基づくエンタングルメント構造の物理的な描像を提案する.

参考・引用:arXiv:2209.13340arXiv:2207.08353

竹田大地
竹田大地

京都大学大学院理学研究科
第4回CHS物理学科研究セミナー
日時:12月15日(木)
     16:00~17:00
場所:日本大学文理学部 8号館 レクチャーホール
言語:日本語

タイトル:量子重力実験に向けた時空創発リングの探索

概要:本講演では、反de Sitter時空(AdS)上の重力理論と等価であるような1+1次元の量子系、「時空創発物質」を実験室で探索する方法を提案する。量子臨界物質はスケール不変と考えられているため、共形場理論(CFT)で良く記述できるはずである。これをリング状に加工すると、物質がAdS/CFT対応に従うならば、リング内部の2次元空間に想定したAdS上の重力理論から物質の振る舞いが決定される。そこでリング上の1点に局所的な刺激を与え、それに対する応答に光学イメージングを施す。時空創発物質ならば、刺激があたかもリング内部に生じた曲がった時空を通ってきたかのうように伝播し、したがって光学イメージングは創発時空を覗き込んだかのような像を与える。これが通常の物質と顕著に異なる結果を与えるため、探索実験におけるシグナルとして採用できると提案する。リングへの加工は比較的容易なので、特に量子臨界点に到達可能なTlCuCl3を候補として挙げ、実験でのパラメータも検証する。本講演は[arXiv:2211.13863]に基づく。

参考・引用:arXiv:2211.13863

渡辺涼太
渡辺涼太

京都大学大学院理学研究科
第3回CHS物理学科研究セミナー
日時:11月10日(木)
     13:30~16:30
場所:日本大学文理学部 1号館 133号室
言語:日本語

タイトル:An introduction to Krylov complexity and its relation to chaos

概要:量子系のカオス性と複雑性は、量子多体系やブラックホールの研究におけるキーワードとなっている。近年、量子系の複雑性を定量的に評価する量としてKrylov complexityが定義され、その性質やカオス性との関係性が盛んに研究されつつある。本講演では、Krylov complexityの導入から始めて、その性質やそれをめぐる予想について原論文を中心としたレビューを行う。

参考・引用:

回数講演者講演テーマ
第2回木下俊一郎(日本大学文理学部)Extension of Kodama vector and quasilocal quantities in three-dimensional axisymmetric spacetimes
第1回竹内紳悟(Duy Tan University)Analogous state of Josephson junction formed in the vicinity of the throat in the wormhole space time from the analysis of Bose-Einstein condensate

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