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【研究成果】山本研究室の柿原祥幸さん(修士課程2年)が論文を発表しました
山本研究室の柿原祥幸さん(相関理化学専攻 修士課程2年)が筆頭著者として行った、高次量子情報単位(”qudit”)から成る量子状態の復元効率に関する研究成果が、5月15日に論文投稿サイト arXiv にて発表されました。
本研究では、量子デバイスの状態を調べるための基本技術である量子状態トモグラフィを、qudit(量子ビットを高次元化した量子系)に対して効率よく行う方法を検討しています。qudit は、従来の量子ビット(qubit)より多くの情報を扱える一方で、量子状態を調べるために必要な測定数が急激に増えるという課題があります。
本研究では、測定数を抑えながら量子状態を再構成できる圧縮センシングの手法に着目し、qudit 系の量子状態トモグラフィにおいて、どのような測定方法(測定基底)を選ぶと効率がよいかを数値シミュレーションによって比較しました。
その結果、qudit の次元が大きくなるほど、特定の測定基底を用いることで、より少ない測定回数で高精度な量子状態再構築が可能になることが明らかになりました。本研究の成果は、高次元量子デバイスの実験的評価や量子情報処理の実用化に向けて、効率的な測定設計の指針を与えるものと期待されます。
論文タイトル:Compressed sensing quantum state tomography for qudits: A comparison of Gell-Mann and Heisenberg-Weyl observable bases
著者:Yoshiyuki Kakihara, Daisuke Yamamoto, Giacomo Marmorini
DOI:https://doi.org/10.48550/arXiv.2505.10462