研究セミナー
【研究セミナー】5/9(金)に第18回CHS物理学科研究セミナーが開催されます。
5/9(金)に第18回CHS物理学科研究セミナーが開催されますので、下記内容にご興味ある方は是非ご聴講ください。
学内の方は申し込み不要ですので、時間になりましたら直接指定場所にお越しください。学外からいらっしゃる方は、学内者に連絡をとるか、yamamoto.daisuke21[アットマーク]nihon-u.ac.jpまでメールしていただいた上でご参加ください。
講演者:松井 宏樹氏(日本大学文理学部自然科学研究所 博士研究員)
第18回CHS物理学科研究セミナー
日時:2025年5月9日 (金)
16:30~18:30
場所:日本大学文理学部 8号館 A-104, A-105 (物理学科セミナー室)
言語:日本語
タイトル:量子重力と宇宙の創生:無境界仮説とトンネル仮説の再評価
概要: 現代宇宙論においては、私たちの宇宙がどのように誕生したのかという根源的な問題に関して、「時空のない無」から量子効果によって宇宙が創生されたとする仮説が注目されています。この「量子宇宙創生の可能性」については、スティーヴン・ホーキングをはじめとする多くの著名な理論物理学者によって研究が進められてきました。代表的な理論枠組みとしては、ハートルとホーキングが提唱した「無境界仮説」と、アレクサンドル・ビレンキンが提唱した「トンネル仮説」が広く知られています。本講演では、近年定式化された量子重力理論のローレンツ経路積分法を用いて、量子宇宙論における無境界仮説とトンネル仮説を再評価します。特に、一般相対性理論の枠組みにおいて宇宙の波動関数を記述する理論としては、トンネル仮説のみが一貫しており、量子宇宙創生において無境界仮説の寄与がないことを明らかにします。また、量子宇宙論における摂動の問題についても議論します。具体的には、無境界波動関数およびトンネル波動関数では時空の摂動が抑制されず、このことが宇宙観測と深刻な矛盾を引き起こすことを明らかにします。
参考文献:
[1] J. B. Hartle and S. W. Hawking, Phys. Rev. D 28 (1983) 2960–2975.
[2] A. Vilenkin, Phys. Rev. D 30 (1984) 509–511.
[3] M. Honda, H. Matsui, K. Okabayashi, and T. Terada, Phys. Rev. D 110 no. 8, (2024) 083508.
[4] H. Matsui, Phys. Rev. D 110 no. 2, (2024) 023503.