3.高圧実験技術について
高圧力技術を用いた物性測定は近年大きく進展した分野の一つで、我々のグループではピストンシリンダー型装置と、ダイヤモンドアンビルセルを用いた高圧実験を行っています。それぞれ、実験設備のところにいくつか写真を載せていますが基本的には図1のような構造をしています。測定の種類によって、形状も異なりますが、NiCrAl超硬合金をシリンダーに使用したピストンシリンダー型装置で3GPa程度の圧力を、ダイヤモンドアンビルセルでは通常30GPa程度の圧力を発生し、物性測定を行っています。ピストンシリンダー型装置の場合、サンプルサイズがミリサイズであるので、慣れてくるとセッティングは比較的簡単にできるようになりますが、ダイヤモンドアンビルセルの場合、サンプルサイズがサブミリサイズであるので、サンプルのセッティングは熟練を要します。ダイヤモンドアンビルセルを用いた電気抵抗測定のセッティングを図2に示します。圧力の質を考慮すると、液体を媒体として加圧するのが望ましいのですが、効率よく測定するためにNaClを圧力媒体として用いています。また、ダイヤモンドが透明であることから、図2のようにセッティングされたところに、赤外線レーザーを照射し、サンプルを高温高圧状態にすることが可能です。高温高圧状態から極低温事態まで密閉したまま電気抵抗を測定しながら冷却できるので、高温高圧状態の一部を低温まで保持したり、高温高圧下で化学反応を促進したり、という試みを行っています。詳しくは「高圧技術ハンドブック」(丸善)などを参考にしてください