痩せるためには何をすれば良いのでしょうか?答えは単純です。消費エネルギーが吸収エネルギーを上回れば良いのです。
では、ダイエットをうまく継続出来ていて、消費エネルギーが吸収エネルギーを上回っている場合に、どの程度のタイムスケールで理想の体重に近づけるのでしょうか?
ここでは、それを定量的に評価して行きたいと思います。
一日あたりに吸収(食べる)エネルギーを\(E_+\) kcalとします。これは簡単のため時間に寄らないとします。
もちろん、毎日吸収エネルギーは変動しますがその平均値を\(E_+\)としているとしましょう。これは
考えるタイムスケールが1週間とか1か月であれば十分よい近似になります。
一日あたりの消費エネルギー\(E_-\) kcalは体重\(M\) kgの線形関数として以下の式で与えられます。
\[
E_-=(\alpha M + \beta)s\ .
\tag{1}
\label{E-}
\]
ここで、\(\alpha\),\(\beta\)は年齢、性別による定数です。
\(s\)は運動強度に対応します。例えば、30代男性で運動強度がやや低い人は、\(\alpha=17.3\), \(\beta=336\), \(s=1.5\)という値になります。
これらのパラメータはこのページの最後にまとめてあります。
また、一キログラム痩せるのには7000kcal消費する必要があります。式を簡単にするために\(R=7000\)kcalと置いておきます。
一日あたりの体重変化率\(dM/dt\)は以下の式で与えられます。
\[
\frac{dM}{dt}=\frac{E_+-E_-}{R}=\frac{E_+-s\beta}{R}-\frac{s\alpha}{R}M\ .
\]
二つ目の等式で、式(\ref{E-})を用いました。式を簡単にするために、以下の量を定義しましょう。
\[
M_f=\frac{E_+-s\beta}{s\alpha}\ ,\quad T=\frac{R}{s\alpha}\ .
\tag{2}
\label{Mf}
\]
この量を用いると微分方程式は、
\[
\frac{dM}{dt}=\frac{1}{T}(M_f-M)\ .
\]
と書けて、この解は、
\[
M=M_f-(M_f-M_0)e^{-t/T}\ ,
\]
となります。ここで、初期の体重を\(M_0\)と置きました。
式(\ref{Mf})で定義した\(M_f\)は十分未来での体重を表し、\(T\)はその体重に近づくタイムスケールに対応することが分かります。
面白いのは、体重変化のタイムスケールは\(\alpha\)と\(s\)にしか寄らないということです。このタイムスケールは
年齢、性別、運動強度にしか寄らないということですね。
ためしに現在83kgの僕が、一日2000kcalに食事制限をしたらどうなるかを評価してみましょう。
僕は30代男性で運動強度はやや低いので、\(\alpha=17.3\), \(\beta=336\), \(s=1.5\)とおきます。
このとき、終状態の体重は\(M_f=58\)kgとなります。またタイムスケールは\(T=270\)日となります。
現在の体重と終状態の体重差が25kgですから、270日で\(25-25/e=15.7\)kg位痩せることになります。